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ソニーが成長株としての輝きを取り戻している。
軸となるエンターテインメント事業で強い基盤を築き、プレイステーション4（PS4）のゲームソフトや
音楽再生などソフトを武器に利益成長と高い資本効率を両立している。
スマートフォン向け需要が伸びる半導体事業への期待も強く、2019年には年間で4割の株価上昇率を記録した。
ハードとソフトの融合に苦しんだ時期を乗り越え、複数の事業が連携する「One Sony」の確立で、時価総額10兆円台の回復が視野に入ってきた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53835630W9A221C1000000/

4億5019万台――。
初代PSの発売から25年のシリーズ累計販売台数だ。
PSは「史上最も売れた家庭用ゲーム機」としてギネスから世界記録に認定された。
12月上旬に品川で行われたPSのイベントで、ジム・ライアン常務は「アフリカから東京まで世界中で大ヒットした」と胸を張った。

今のソニーの成長を支えるのはこのゲームを中心としたエンタメ事業だ。
20年ぶりの営業最高益となった2018年3月期から今期（予想ベース）までの3年でみると、ソニーの営業利益総額は2兆5000億円弱。
エンタメはこの56%を稼ぎ出す。

なぜここまで稼げるのか。
エンタメという事業の特性上、利益をあげる大前提は顧客満足の充足、
つまり「楽しい」と感じてソフトやサービスにお金を払ってもらう仕組み作りだ。
今のソニーには、この基盤が備わっている。

たとえばPS4。
発売から6年超が経過し、今期の発売台数は16年のピーク比では3割ほど減少する見通しだが、
累計販売台数はすでに1億台を超えている。ハードの販売の勢いが鈍っても、
すでに「アフリカから東京まで」という規模で世界の家庭に行き渡ったプラットフォームに
ソフトを流し込めば稼げる。

ゲームビジネスには、世界的なネット通信の高速化という追い風もある。
ソフト本体のダウンロードだけでなく、追加のシナリオやアイテムなどプラスアルファの
収入が見込めるようになり、前期のゲームソフト1本あたりの売上高は5022円と3年前と比べて4割増えた。

音楽事業では膨大な楽曲の著作権が基盤になる。18年に英ロックバンド「クイーン」などの
著作権を持つ米EMIミュージックパブリッシングを約2600億円で完全子会社化した結果、
19年3月末時点でソニーが保有する楽曲数は453万曲と7年前と比べて約150万曲増えた。

音楽事業でもネットの恩恵は大きい。過去の楽曲が「発掘」されやすいストリーミングの広がりは、
著作権のストックの価値最大化と相性が良い。実際、ソニーのストリーミングの売上高は3年で
2倍以上に膨らんでいる。

十時裕樹最高財務責任者（CFO）は「音楽の需要は景気などにもあまり左右されない。
EMIは質が毀損しにくい、とてもクオリティが高い資産」と語る。

いったん基盤を確立すれば、ソフトで稼ぐモデルは極めて効率が良い。
19年3月期の投下資本利益率（ROIC）はゲーム部門が55%、音楽部門は36%だった。
金融を除く全社ベースの20%と比べて突出した高さだ。

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